2012年11月

2012年11月29日

先週、facebookで参加しているグループの意見交換会があって、農林水産省に行って、農水省経営局の方々と直接お話しする機会がありました。
あ、もちろん、言いたい放題言ってきましたよw

で、その時すごく思ったのは、『現場の声が農水省に届いていない』ってことと、『農水省の声も現場に届いていない』ってこと。

その意見交換会で俺は「農水省として、どんな農業経営体を増やしたいのか」ってことを聞いたんだ。
そもそもなぜ俺がこんなことを聞いたかと言えば、現場に農水省としての考えが伝わってきていないから。
少なくとも「補助金漬けの農業経営体」を増やしたいのか、「補助金に頼らない自立した農業経営体」を増やしたいのか、結局どちらを目指しているのかよくわからない農政ばかりだったからさ。

で、農水省の方は『補助金に頼らず、自立した農業経営体が増えることが望ましい」という答え。
それですよ、それ。俺が聞きたかった答えはw。


それと『官僚なかには本気で農業のこと考えてる人』がいるってことを知った。
ものすごい偏見だけどね、今まで官僚なんて適当にやってんだろ?とか思ってたけど、直接会って話してみると、それはものすげえ偏見だったなと。

「そもそも農水省は必要か?」とかそういう議論は置いといて、少なくとも農水省経営局の方々は日本の農業について熱意を持って本気で考えてるってことはよくわかった。
マスコミの報道なんかで官僚に偏見持ってた自分がものすごく恥ずかしい。orz


じゃあさ、そんな熱意をもって本気で日本農業考えてるのに、なんでそれが現場の望む農政に反映されないのか?
その原因の一つに「ガチで農業やってる農業者の声が農水省に届いてない」ってことが、大きな原因なのかなと。

今まで農水省へのパイプ役は政治家だったり、その他農業団体だったり、ぶっちゃけ、農業には関係してるかもしれないけど、ガチで農業で稼いでいない人達がパイプ役だったわけです。

つまり、生産現場と農水省がお互いの声を聞きづらい構造になっているから、現場でガチで農業やってる現場の望むことが農政にあまり反映されてこなかったのかなと。

農水省の方との会話の中で「え?生産サイドの現場ではそうなってるんですか?」ということも多々あったのでそう感じざるおえなかったわけです。

で、思ったのは、この生産現場と農水省がお互いの声の聞きづらい構造ってさ、一昔前の野菜の流通にそっくりじゃね?
生産現場の声が消費者に届きにくかったり、逆に消費者の声が生産現場に届かなかったり。

それどころか、生産者と消費者の間に入っている「流通業者・販売業者」の扱いやすいような、野菜の規格だったり流通形態を、言い方悪いが、生産者と消費者に押しつけて、「流通業者・販売業者」が利益を得ているじゃん?
これと同じことが生産現場と農水省の間にあることも考えられるんじゃないかな?


現在、売り上げ伸びてる農業経営体は、お客さんと直接繋がるような販売形態がメジャーになりつつある。とすれば、今のイマイチな日本農政を良い方向に成長させる農政に転換するためには、生産現場と農政現場が直接繋がることがものすごい大切なんじゃないかな?


そういう意味で、今回のように農業者と農水省が直接話す機会ってのはものすごくいいことだと思うし、農水省側も、「今後、現場で農業やってる人達と直接話す機会を増やしていきたい」って言ってたので、もしかしたら、ガチで農業やってる人の今現在の不満を解消されるような農政のカタチに、スピード感をもって変化してくるのかなと期待してたりする。


やっぱね、「直接話す」ってことはすごい大切なことだよね。
それでしか解決できないこともあるからさ。



A-GYO(エイギョウ)agyonoudennki at 07:12│コメント(3)トラックバック(0)

2012年11月22日

昨日は武蔵野種苗の展示会に行ってきました!↓
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武蔵野種苗の展示会は初めて行ったのだが、自社品種だけでなく、他社の品種とも比べられるような展示になっているので、比較検討がしやすかった。

来年はネギ『吉宗』、夏蒔きカブは『碧寿』、夏トマトに「アニモTYー10」を使ってみたいと思います。w
特にネギの『吉宗』は味はもちろん合格ライン以上に加え、皮が剥きやすく調整作業が楽になりそうなので、積極的に使いたいと思います。


さて、昨日は私の尊敬する方々にも会うことができました!↓

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手前右下が
久松農園の久松さん、その奥が木の里農園の布施さん、左上のハンチング帽被った方がレインボーファミリーの笠原さん。

御三方ともブログやフェイスブックなどで積極的に情報発信をされてる方で、私もよく読ませて頂いてます!
御三方の共通点は『農薬を使わない栽培方法』で野菜などを栽培されているということ。

俺は慣行農法なんだけど、コスト的に出来るだけ農薬を使わないで栽培する方法をとっているし、多品目栽培という経営方針なので、結果的に御三方のの栽培方法は非常に参考になるし、物事の考え方など非常に感銘を受けることが多い。

昨日は限られた時間だったけど、色々お話し出来たので非常に有意義な一日でした!



A-GYO(エイギョウ)agyonoudennki at 07:45│コメント(2)

2012年11月12日

毎年、11月も半ばになってくると、来年の作付計画で頭がいっぱいになってしまう瞬間がある。

「今年は〇〇の栽培が上手くいったから、来年は作付面積2倍にしよう」とか、

「今年やった〇〇は全然お客さん受けしなかったから、来年は無しだな」とか、

「今年あの畑に播いた〇〇はあんまり上手に出来なかったから、来年は畑の条件を変えてもう一度挑戦してみよう」とか色々ね。


で、今年は特に「来年は如何にお客さんに受け入れられるモノを作るか?」ってことを第一に意識して色々考えている。

自分に合った作物とか自分が面白いと思った作物ばかり作っていても、結局買ってくれるお客さんのニーズに合ったものじゃなきゃ売れないわけです。

ましてやうちのお客さんは、スーパーに野菜を買い物にくる方が9割。

「スーパーに野菜買いにきたんだけど、地場野菜コーナーでも同じもの売ってる。じゃあ、地場野菜の野菜を選ぼう!」という方に支えられてうちの生計は成り立っているわけです。



スーパーの地場野菜コーナー向けに『商品をつくる』ということには2つのアプローチ方法があってさ。

ひとつは『お客さんに受け入れられる商品造り』。

もうひとつは『お客さんのニーズを掘り起こす商品創り』。


今まで俺は、自分が面白いと思ったものを主軸にお客さん受けはイマイチだけど、ちょっと変わった栽培品目も積極的に栽培計画に取り入れていた。
つまり『お客さんのニーズを掘り起こす商品創り』を優先して栽培計画を立てていたんだけど、やっぱり受け入れられるモノ、受け入れられないモノがあるわけです。その受け入れられないモノを作ってしまったことは良い経験になるんだけど、毎年毎年、その分の時間や資材の『ロス』が結構馬鹿にできないもんで。

家族経営でスーパーという販路で生計を立てていくうえで、もう一段階ギア(収入)をあげるには、『当たるか当たらないかわからない商品創り』という部分を「そぎ落とす」という選択肢も時には必要なのかなと。最近強くそう思うようになってきた。

だから、来年は出来るだけ『お客さんのニーズを掘り起こす商品』の栽培品目を絞って、『お客さんに受け入れられる商品』を今年以上に栽培していこうと、こう思っているわけです。


一昔前は、自分が『主役』で作りたいものモノばっか作って、「自分を見て!こんな自分が作ったものを買って!」とお客さんを『観客』にしていたけど、やっぱり今後、確実に生き残っていくには、お客さんを『主役』にして、自分は裏方のプロデューサー役・・・だと言い過ぎか、うん、縁の下の力持ちの大道具さん役をしてみるのも面白いアプローチかなと。野菜を買って食べてくれるのはお客さんなんだから。

ってことで、

栽培計画を立てる前に、「自分の商品を買ってくれるターゲットがどういう人なのか?」ってことを強く意識していくことが大切なのかな~って、最近特に思ってます。


A-GYO(エイギョウ)agyonoudennki at 07:25│コメント(2)トラックバック(0)つぶやき | 

2012年11月10日

先日トキタ種苗さんの展示会に行ってきました!↓

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トキタ種苗さんの展示はすごく楽しい。
カボチャとか空中に実ってます(笑)↓

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トキタ種苗の品種はジャンルが幅広くて、僕も毎年何かしらのトキタ種苗の品種を使ってる。

今回の展示会で特に興味を引かれたのは、以下の品種。

まずは、「スティッキオ」↓
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味と香りがフェンネル系で、形はセロリを小さくした感じ。
葉茎を1枚ずつ剥がして、それをディップや味噌マヨなどにつけて食べると美味しい。
トキタの担当の人曰く、「カクテルなどの「マドラー」代わりにスティッキオを使うと、香りがお酒に移ってとても美味しい」とのこと。バーやレストラン向きの食材かな。

栽培面から見ても、9515マルチ(90cm幅5条植えで株間15cm)で密植でき、播種から60日程度で収穫出来るので、面白そう。

弱点はメジャー野菜ではないこと。飲食関係などと取引がある生産者ならばいいが、スーパーなどの店頭に並べるには、もう少しメジャーになってからかな。
でも、後々栽培したくなった面白い品種。

次は「カリフローレ」↓

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茎ブロッコリーってあるじゃん。そのカリフラワー版だと思って頂ければいい。
品種特性として、花蕾が固く締まらず、程良く分枝するので、「スティックカリフラワー」として収穫出来るとのこと。
トキタ種苗のこういう商品開発の目の付けどころが俺はとっても好き♪

生産者サイドから見たら、「大きめのカリフラワー」としての方が収穫・出荷作業的に楽だな~とか思ってしまうのだが、それはそれでアリかなと。
レストランなど飲食系向きに販路を持つ生産者には非常に面白い品種かな。


やっぱね、こういう新品種を見ると仕事へのモチベーションが上がってくる。
日々単調になりやすい仕事でも新品種とかみてるとワクワクドキドキして、気持ち的にすごくいい感じになる。

今月はもう一か所、種苗メーカーの展示会に行く予定。
そこでもきっとモチベーションあげられるハズ。

いくつか展示会まわって、各種苗メーカーのパンフをドンドン手に入れて、来年の作型考えるのが冬の楽しみ。
さて、仕事ガンバロ!!





A-GYO(エイギョウ)agyonoudennki at 06:50│コメント(2)トラックバック(0)お出かけ | 品種雑感

2012年11月07日

飽和状態で停滞した業界において、その業界を活性化するには、新しい切り口の新規参入をどんどん参入させて既存のイマイチな業態を淘汰させる方法もアリなんじゃないかな?
少なくとも飽和状態の業界の質を上げたいのなら、新規参入を排除しちゃダメだと思うんだ。
新規参入を拒む空気が漂う業界は必ず衰退していくからね。

・・・って田中眞紀子文部科学大臣の新規大学申請不認可問題を聞いて思った。


まあ、教育業界と農業業界では違うのかもしれないけどさ、「少子高齢化」ってのはどの業界にもこれから大きな影響を与えてくるとおもうんさ。いや、もうすでに影響出てるのかも。

さて本題。

十年先、二十年先のこと考えるときには避けては通れない「少子高齢化」、そして「人口の減少」という状況。
これを踏まえたうえで、今後の農業経営ってのを考えていかなきゃいけないと思うんさ。

特に人口が減る=食の消費量が相対的に減るわけで、そこに今までと同じだけの物量突っ込んで、今までと同じだけの利益が出せるのかは非常に疑問だよね。

だから、今のうちから『次』の戦略たてたり、新しい農業経営スタイルのカタチを作り始めたり、今は出来なくともアイデアの種を播いとく。そういうことが「持続可能な農業経営」に繋がっていくのかなと。

そう考えるとさ、「農業=生産」という第一次産業だけじゃかなり厳しくなってくると思うんだよね。
生産だけで生き残ることができるのは、「大規模化」、「寡占」、「輸出」という選択肢ぐらいじゃないかなと。

じゃあ、俺みたいな弱小都市近郊農家はどうすればいいか?

今流行りの『第一次産業(生産)×第二次産業(加工)×第三次産業(サービス)=6次産業化』に乗るか?

いや、正直、第2次産業=加工っていうのは、俺が簡単に手を出せるようなシナモノではないし、俺自身が加工に手を出すことの出来る『器』じゃない。

それにさ、今、国が音頭とって6次産業化を進めてるということは、それだけ加工に手を出す農業経営体の絶対数が増えるわけでさ。
その清濁混沌とした中に飛び込んで生き残るだけの技術と情熱は、今現在、俺は持ち合わせてない。

そう自分の『身の程』を評価している俺は今後どうすればいい?


それなら第二次産業じゃなくて、第三次産業に力を入れた、つまり「第一産業(生産)+第三次産業(サービス)=4次産業化」に集中してさ、今自分の置かれてる状況をフルに活用するような戦略で農業経営のかじ取りするのも手だなあと、今現在思ってたりする。

もちろん、状況が一変すればこの考えた方も大きく変わると思うんだが、「自分に合った農業経営」をモットーとしている俺にとっては方向性は間違っていないと思う。つまりは今俺ができることは、「加工には手を出さない」&「ニーズに合った農業経営」を行うことかなと。

「ニーズに合った農業経営」、これは自分の今置かれた状況を知る=身の程を知ることから、色々視えてくる。

視えてきたものをカタチにするにはちょっと時間がかかりそうだけど、まあ、10年、20年先にはそういう方向に向かって進んでいかなきゃなと思ってたりする。

何するの?

内緒(笑)


A-GYO(エイギョウ)agyonoudennki at 07:16│コメント(0)トラックバック(0)経営論 |