2010年12月13日

さて、今日は一冊の雑誌をおススメしたいと思います。
それがこれ↓
nougyoukeieisha20111gatu

月刊『農業経営者』 2011年1月号
特別定価1800円

このA-GYO農伝記を読んでくれている方にはおなじみの雑誌ですが、今号の特集は非常に面白い内容になってます。

それは今農業界で盛んに議論されている…ってか「反対!反対!」の大合唱してるTPP(環太平洋経済連携協定)について、実際の農業経営者達(雑誌の定期購読者)はどう感じているかってことをアンケート調査してその結果と考察を載せてます。

これを見ると、「ああ、やっぱり「TPP反対!」って叫んでる人を横目に、冷静に生き残りをかけて経営努力をしている人はいるんだなあ」と思いました。

農業経営者読者によるアンケートによれば、「経営に影響あってもTPP参加に反対はしない農業経営者層は『46%』ってことらしいです。
 
もちろん、このアンケート対象者のほとんどは兼業ではなく、ガチで農業で飯食ってる人たち(←ここ重要)。

そういう人たちは、すでに「TPP締結」はありえる現実のものとして受け入れ覚悟し、それに対応するためにどう行動すべきかを考え、実際に行動してるんだなと思いました。

これって結構、世間様で言われてる報道と大分かい離している気がしませんか?

今マスコミなどで報道されてるのは、「TPP締結すれば日本農業は壊滅する!」って報道がほとんど。


じゃあ、実際なんでガチで農業やってる人と報道にこれだけの差がでるんだろうね?


ちょい話はそれますが、農産物は基本的に『食べ物』です。

当然、人によって食べ物の嗜好は全然違います。

例えばさ、米。
米ってさ、今海外で作られてる主要品種はタイ米のような長粒種。
そんな長粒種が大量に日本に入ってきたとしてもさ、そうそう売れないと思うんよ。

だったさ、今現在、日本人が好むのは日本米のような短粒種であって、タイ米のような長粒種じゃねーわけです。
これは何年か前にあった「平成のコメ騒動」の時にわかっていることです。
(「平成のコメ騒動」・・・平成何年だったかな?日本が大不作で緊急的にタイ米などの海外から長粒種を輸入したものの、日本人の嗜好に長粒種はなじまず結局余ったあげく、それがきっかけで食べもしない米を定期的に輸入することになる。
余談だが、この食べもしない輸入米が原因で、この間起きた「輸入米の事故米」の問題に発展するんだよね…。)


まあ、要するに、食べる側の嗜好を無視した、ただ単に単価での机上の計算によって、誰だかしらねーけど「TPP締結すると日本農業壊滅!だから大反対!!」ってシナリオを描いて、経営努力の足りない農業者を煽ってるだけなのかなと

なんで、煽るって?いや、シナリオ描いてる『農業で飯を食ってない人間』が『得』をするからでしょ?


誰だかしらねーけど。(笑)



まあ、日本の政治のTPP参加への流れは止められないだろうけどさ。
TPPは、経営努力を推し進める農業経営者たちにとってはデメリットだけじゃなく、メリットあるしね。

政治には、デメリットばかりでなく、メリットを見て、そのメリットが伸びるような政策を望みますね。

これからは農業もすげえ構造改革が起こるんだろうし、それに対応できる農業経営者じゃねーと生き残れないんだろうな、と。そう俺は思います。


とりあえず、「TPP反対!」のシナリオに踊らされてる人たちは、この『月刊 農業経営者』を見るべき。

そしたら、自分が今何をすべきかを考えるいいキッカケになると思います。

是非、読んでみてね♪


A-GYO(エイギョウ)agyonoudennki at 06:39│コメント(16)トラックバック(0)本日のおすすめ | 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 名無し   2010年12月13日 10:26
アメリカ主導のTPPの最終的な目的は、「ゆうちょ」であるともいわれています。
その事はご存知ですか?
完全自由化とは農産物ばかりではなく、人、金が自由に行き来するのです。
例えば米の場合、海外から日本人の嗜好に合った米が輸入されるようになるのは、時間の問題です。
海外で安い労働力を使って米を作られたら、日本の米は価格でかないません。
そんな事言っても日本人の嗜好に合わない米は売れるわけないでしょ、と思うかもしれません。
しかし、嗜好に合う米を作るために投資をする金持ちというのが世の中にいるのです。
そうなった時、あなたならどうしますか?
私はそうなったらお手上げですね。

2. Posted by mizuki   2010年12月13日 11:16
93年ですな。あれは長粒種だからではなく、低等級・飼料用だったんですな。確か4等とかだった筈ですが、人用ではなかった。1等は旨いぞ。って事のようです。まぁ、輸入の米なんか食えないでしょ。ってやるには最適だったかとは思いますが結果として何年か時間稼ぐ意味しかなかったかとは思います。名無しさんも指摘してますが、市場開放で輸出用生産が始まります。生産者卸が1kg¥200ぐらいでしたか。ガチでぶつかれば死ぬでしょう。頭使ってかわしましょう。TPPだけに限らずEU・アジアでの貿易自由化は進むので、その中での最適化は何かと考えて個々で判断して行動して結果をしっかり受けとめるって事やらないとね。反対してる連中にはさせときゃいいんです。それはそれで結果が降り注ぐだけですんで。
3. Posted by 通りすがり   2010年12月13日 15:49
世界を相手にしないとダメってことですよ。
世界に売れる米を作れば、TPPは大チャンスなんですよ。日本人にしか売れない物作ってるから慌てるんです。米に限らず電化製品だって車だってみな条件は同じです。「世界に売れるもの」を作るしかないんです。
4. Posted by sugimotokazuya   2010年12月13日 16:26
ガチでがんばっている専業農家は賛成でも賛成運動する労力があるくらいなら経営努力しますので、反対運動ばかりになってしまうんでしょうねぇ。
5. Posted by A-GYO   2010年12月14日 22:04
>名無し様

コメントありがとうございます!
TPPの目的が「ゆうちょ」ってあれですか、小泉政権の時にやった郵政民営化のときに言ってた、「ゆうちょ」の資金を民間にってやつと同じですか?すみません、勉強不足で(汗)

さて、米ですが、私はTPP締結によって、日本の米の価格がかなり下がると思います(最悪米60kgが1万円切るくらい)。そしてその結果、海外からの輸入米との価格差が名無しさんがいう程の差はなくなるのかなと。
また名無しさんのご指摘にある「安い労働力」で作られる米ですが、長い目でみると、その「安い労働力」は経済発展により「安い労働力」のままであり続けることは考えにくいです。

実際、今現在農林水産省がだしてきた試算は、過去の「安い米」の価格をベースに算出されてるのをご存じでしょうか?
ちなみに試算で使われている労働力の安い国(中国)の米の価格は10年前は60kg当たり日本円にして3,000円程度でしたが、今現在は60kg当たり10,000円以上になってますからね。そして今現在もその中国の米の価格は上昇してますから。
繰り返しますが、それを考えたら、今現在「安い労働力」であったとしても、今後ずっと「安い労働力」であることは考えにくいのかなと。(次に続く)
6. Posted by A-GYO   2010年12月14日 22:07
>名無し様

(続きです。)
じゃあ「安い労働力」じゃなくなったら、次々と安い労働力のある国へ移動して作ればと思われるかも知れませんが、そうやってる間に、日本の米農家は大分ふるいで振るわれ、本当に経営力のある米農家が生き残るわけで。そんな米農家が国産国消で作ってる米で、その価格が外国産とそんなに変わらないとなったら、日本人は国産と外国産、どちらを選ぶでしょうか?

余談ですが、今現在、実際にヨーロッパ(確かイタリア)では短粒種(ジャポニカ米)を作ってたりしてます。が、それはあくまで日本向けではなく、ヨーロッパ向け、特に「SUSHI」ショップ狙いの米です。
今世界中で日本食が流行ってますからね。これってある面では非常にビジネスチャンスじゃないでしょうか?

これからの米農家は世界を相手に売り込む時代が来るでしょう。時代の流れは止められないものですから、生き残るために、その時代にあった農業経営をしていかなといけませんよね。

だからTPPはデメリットばかりでなく、メリットも見て、そのメリットを有効に活用できるような農業経営であり、政治をしてほしいと思います。
7. Posted by A-GYO   2010年12月14日 22:16
>mizuki様

コメントありがとうございます!そうです!93年です!なるほど、人用じゃなかったんですね。だからあんなだったんですね(汗)まあ、あの米輸入が色々なことを引き起こすきっかけでしたね。

>TPPだけに限らずEU・アジアでの貿易自由化は進むので、その中での最適化は何かと考えて個々で判断して行動して結果をしっかり受けとめるって事やらないとね。

本当、mizukiさんのおっしゃる通りです。
私も止まることない流れの中で、考え、判断し、行動し、結果を受け止めることが非常に大切し農業をやっていきたいと思います!
8. Posted by A-GYO   2010年12月14日 22:24
>通りすがり様

コメントありがとうございます!
TPP締結後、生き残るのはもちろんですが、メリットを最大限に生かすことのできる農業経営者が増えるといいなと思います。

そうすれば、農業が『産業界の足手まとい』と呼ばれることも無くなるでしょう。

農業の大変革、今後30年間は色々あると思いますが、日本の農業にとって、この変革が良いものになることを信じたいです。
9. Posted by A-GYO   2010年12月14日 22:34
> sugimotokazuya様

コメントありがとうございます!
そうなんですよね、反対言ってる暇があったら、TPPに備えて行動を起こすことが大切ですよね!

私は米を作っていなし、関税率10%以下の野菜ばっか作っているので、個人的にはTPPはあんまり影響しないのかなと。

まあ、それでも、TPPが締結されたらどんな感じになるかを想像し、かつ、その対策を考えることは日頃から必要ですよね。
10. Posted by 名無し   2010年12月15日 07:41
中国はTPPには参加しないだろうと言われています。
TPPに参加するベトナムはタイと並ぶ世界最大の米輸出国です。
ベトナムの賃金基準は日本の20分の1以下、物価水準は8分の1程度らしいです。
今年1月から10月までの米の輸出量は556万トン、輸出額は23億5000万ドル。トン当たり平均輸出価格は423ドルで、1ドル=85円で換算すると3万5870円になります。という事は35.9円/kg、60kg2154円の計算になります。
これはインディカ米の価格ですが、TPPが締結されればジャポニカ米の生産を始めるでしょう。その時に価格は多少上がるかもしれません。しかしそれが一気に1万円になるとは思えないですし、10年掛かって価格が上がる間に、生き残れる農家がどれだけいるのか。
それと「ゆうちょ」に関する問題はこちらをご覧下さい。
http://bit.ly/hD8yHW
11. Posted by A-GYO   2010年12月16日 06:24
>名無し様

「郵貯」に関する問題はなんとなくですが、わかりました。「郵貯」についての情報は知らなかったので教えて頂きありがとうございました!

また、TPPに参加する予定の米輸出国ベトナムについての情報を教えて頂きありがとうございました!なるほど、TPPに参加すればベトナムでジャポニカ米の生産が始まるでしょう。

さて、今回のTPPは農業だけで考えてはいけない問題だと名無しさんもおっしゃっておりますが、私も同感です。TPPの締結により様々なデメリットが出てくるでしょう。しかし、メリットも当然あるわけです。それは工業製品の輸出しかり、農産物の輸出しかりです。

名無しさんは「生き残れる農家がどれだけいるのか」と言いますが、私は「生き残れるような努力を怠った農家がふるいにかけられるのは当たり前」だと思います。それだけ、今の農業界は厳しいですから。

だから、努力を怠った農家まで生き残させるためにTPPに反対したくないんです。
「TPP締結しても生き残り、農業界を発展させられる様な農業経営者が増えてほしい」それだけなんです。

ちなみに、現時点で私はTPPについて賛成も反対も言えないです。でも、「TPP締結されたら…」の想像はしておきます。
12. Posted by 吉吉   2010年12月16日 11:59
私はTPPに反対です。

私は米農家で、ほとんどの米を自家販売してるので比較的TPPに参加になって もなんとか出来る自信はあります。
しかし、周りの農家は多分厳しい農家ばかりです。(農協主体)

TPPでなくても借金や不作で自殺したり夜逃げしたりする農家をたくさん見て来ました。
うちは大丈夫だからTPP賛成とか、頑張っている農家が生き残るから良いみたいな事を言う、自分の事しか考えていない篤農家もどきや、卓上の数字を云々言う役人もどきの農家が一番嫌いだ。



アナタには農業に失敗して自殺したり夜逃げした友人はいますか?

でも、TPPに参加は免れないと思う。

この先、農業もそうだが食がどうなるか不安だ。



因みに米ばかりが注目されてるが麦や大豆、肉や乳製品の方が影響出ると思う。
13. Posted by 通りすがりですみませんが   2010年12月16日 21:19
吉吉さん

「農業に失敗して自殺したり夜逃げした友人はいますか?」という事例、私も見てきました。
しかし、そういう事例はどの業界でもあることです。

たかが農業で、人生で不幸な選択をしなくてもいいはずなんです。転職するのが当たり前の世の中になったように、農業をやめても恥ではないと思える時代が来れば(TPPはそのきっかけになるように思いますが)、そういう不幸は少なくなると思います。
14. Posted by A-GYO   2010年12月17日 00:52
>吉吉様

コメントありがとうございます。
また、私のブログでの主張、及びコメントを見て不愉快な思いをさせてしまい申し訳ございません。

>アナタには農業に失敗して自殺したり夜逃げした友人はいますか?

幸いなことに、私が就農して以来、一度もそのような経験をしたことがありません。

なぜならば、私がいる地域では、私が就農する前に多くの農家が「ふるい」にかけられ離農しており、今地域で生き残ってる農家はその「ふるい」からこぼれなかった農家しかいないからです。

私の家は代々農家です。いまでこそ野菜を主に農業で生計を立てていますが、昔は色んな農業分野を複合的に組み合わせ、その代その代、その時代時代にあった農業経営をしてきました。

野菜はもちろん、お茶、養豚、養羊、養蚕、米、陸稲、大豆など色々です。

そして、その代その代が次世代にかわるときにうちの農園はその時代で生き残るために農業経営を変化させてきました。
明治時代から規模拡大をするためドンドン農地を手に入れたところで戦後の農地解放に遭い。
土地が小さくてもできる養蚕業をしたものの、のちに養蚕業が衰退し。
養豚するも、都市化の影響で臭い等の問題でやめ。
そして現在野菜をやっているわけです。

何度も何度も「ふるい」でふるわれて、それでも農業の業態を変えて対応してきました。全ては『生き残るため』です。(次に続きます。)

15. Posted by A-GYO   2010年12月17日 00:55
>吉吉様

(続きです。)
今現在、私の知る米農家の多くは今後の展望を見据え、米だけでなく野菜栽培を始めたりするなど、米だけに頼らない経営へとシフトしつつあります。動ける人はすでに動いています。

吉吉さん、私はTPPに賛成はしていません。そして反対もしていません。全ては時代の流れに合うように日々農業で生き残る術を考えて行動しているだけです。

私がこのブログネタで言いたかったのは、「TPP賛成!ドンドン進めろ!」とか、「TPP反対!ふざけんな!」でなく、もしもTPPが締結された時のことを今から考えよう!そのきっかけに月刊農業経営者を読んで!ってことです。
もしも、それが伝わっていなかったのであれば、それは私の文が未熟ということで反省したいと思います。
16. Posted by A-GYO   2010年12月17日 01:07
>通りすがりで済みませんが様

コメントありがとうございます。
吉吉さんのコメント、もっともだと思います。
全ては私の文章力の未熟さと思っております。そんな私にフォローしていただきありがとうございます。そしてすみませんでした。

さて、通りすがりで済みませんさんのおっしゃる通り、転職し離農するのも選択肢であっていいと思うんです。
やはりその人に合った職業ってあるものですから。

今後、もしもTPPが締結された場合、必要に迫られて離農する農家も多くなるでしょう。
その時の離農した人の受け皿、また、農地の担い手の受け皿が今後非常に重要になってくるのかなと思います。

コメントする

名前
 
  絵文字