2013年10月27日
前回までの話はこちらから→エピソード2
翌朝、時間ぎりぎりまで来年海外研修に行く予定の研修生たち(主にオランダ配属予定の研修生)と海外農業研修生活の注意点を伝え、いよいよ千葉へ。
最初に訪れたのは千葉県流山市にある自然農園『レインボーファミリー』の笠原さんのところへ。
大学の先輩でもある笠原さんと、現在の経営方針や野菜の品種の情報交換。
うちなんかよりも住宅地のど真ん中で農業している笠原さんの、農園をベースに様々なイベントを開いてる経営が非常に面白く共感でき、また大変参考になりました!
そして、次に向かったのは千葉県柏市のファーム小川の小川さん。笠原さんと小川さんと私の3人でイタリアンの食堂で昼食食べつつ、都市の農業などをテーマに情報交換。
そして、昼食後は3人で小川さんの畑を視察。
写真は小川さんのハウスの前で談笑する小川さん(左側)と笠原さん(右側)。w↓
小川さんといえば、『柏のムシキング』との通り名がついているほどの昆虫マニアw
家の前では日本ミツバチを育ててるし、カブトムシも数百匹を幼虫から育てている。
そんな小川さんの農場では虫たちが大活躍しており、その活躍っぷりは小川さんならではの発想から虫たちが野菜作りに協力してくれているといっても過言ではない。
例えばキャベツをムシャムシャ食べるアオムシ対策に、寄生蜂やBT剤(菌を感染させてアオムシを防除する)などを利用するのが一般的だが、小川さんは違う。なんと捕食性の様々なスズメバチをも、アオムシ対策に利用してるのだ!
駆除を依頼された蜂を持ち帰り、それを畑に放し、彼らに野菜作りを手伝ってもらってる小川さんは、スズメバチを素手で触れる(「但し、オオスズメバチとキイロスズメバチは攻撃性が強いので触ることはお薦めしない」小川談)。
スズメバチを手の平に乗せ、見つめるそのまなざしは風の谷のナウシカのナウシカのようだ(笑)
ちなみに小川さん、こんなことやってても、生まれてこのかた一度もスズメバチに刺されたことはないそうです。さすがムシキングw
小川さんとは日が暮れるまで、様々な虫たちの話で盛り上がりました!
笠原さんも小川さんも、本当に農業に真剣で、とても面白く、そして人格的に素晴らしい人たちでした。
2人とお話して、「自分はまだまだ未熟だなあ」と再認識できたことが大きな収穫でした!
笠原さん、小川さん、お忙しい中、私の訪問にお付き合い頂き誠にありがとうございました!
こうして、1泊2日の非常に濃い内容の農業旅行が無事に終わりました。
本当に充実た時間を過ごすことができました。
今回の旅でお世話になった方々、この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました!
さあ、モチベーションも上がって、気力も充電満タン!!
頑張るぞーーー!!!
2013年10月24日
茨城・千葉弾丸農業旅行報告の続き。(エピソード1はこちら)
後ろ髪引かれる思いで久松農園を後にし、今回のメインイベント「海外農業研修事前講習会OB講話」の講師として、来年ヨーロッパで海外農業研修に行く予定の研修生たちのまえで、OB講話をしました。
話した内容は、海外研修に行く前にこれやっといたほうがいいよということ。
特に以下の3つについて話ました。
1、海外農業研修に行く前に、海外農業研修後の未来の自分の理想像を強くイメージする。
→これは、この海外農業研修はあくまで自分の夢や理想を実現するための『手段』であってほしいということ。逆を言えば「研修に行くことを目的に研修に行ってほしくない」ってこと。自分探し?観光目的?そんなふざけた目的ならばこの海外農業研修のプログラムに参加すんじゃねーぞ。このプログラムは、あくまで「農業研修の『海外版』」で、君たち研修生は『農業研修生』なんだよ!農場主に言われたことだけをただ機械的にこなす労働者になるなよ!あくまで自分から積極的に何かを学ぼうとする姿勢を持ち続ける研修生であれ!それを肝に銘じとけ!ってなことを、俺にしては『やさしい口調』で話しました。
2、海外農業研修に行く前に、日本の農業を知る。日本の農家さんのところに行って、話をする、農場見せてもらう、あわよくば体験・研修させてもらう。
→まあ、早い話、日本の農業知らないで海外の農業を深く知ることなんざ出来ねーよって話です。本とかネットで総論的・学術的な農業を知るだけじゃなくて、農家さんのところ言って「リアルな農業」を体感しねーと。その経験から物事を色々な立場・方向から見ること、つまり視野の広い視点を持つことができるし、海外との技術や考え方の同異に気付き、それを自分の人生の糧にできる。
そういう経験をあくまで自分からつかみ取ろうと行動しなきゃ研修やってる意味がないし、チャンスがあるのにそれを活かしきれないともったいないよね。
ついでに言えば、配属希望の業種(野菜、有機野菜、花き、果樹、酪農etc)の農家さんだけじゃなくて、自分の希望する業種以外、例えば、花き希望ならなら野菜農家さんや酪農家さんのところに行って、話をすることによって、将来自分の農業経営や農業に対する選択肢の幅が広がるしね。そのためにも色んな農家さんのところに行っとけよ!ってな話。
3、日記をつける。
→これは、将来農業に携わるなら必須のこと。農業は知識と経験を積み重ねて技術が向上する。その積み重ねを日記に書きしるしておくことで、自分のやったことを検証できる。例えば、いつ種まいて、いつどういう管理をして、いつ収穫して・・・って書いておくと、自分のやったことを振り返って、検証ができる。
それが自分の技術を向上させることができる。
さらに言えば、研修に行く前日に、自分は未来の自分の理想像に近づくためにこの研修をやりたい!ってな熱い思いを日記に書きしるしておけば、研修始まって凹んだ時にそれを読み返すと、自分は励ますことができるよって話。
以上、3つのことが出来れば、日本の海外農業研修生としては合格かなと。
講話後、研修生たちが俺の話を聞きに来てくれて、農業について色々伝えることができました。
俺の話が彼らの成長の糧になってくれたら本望だ。
彼らが来年、素晴らしい海外農業研修ができることを心から願いながら、その日は眠りにつきました。
→エピソード3に続く
2013年10月22日
まずは、一日目。
久松農園久松さんのところへ!
あいにくの雨ですが、うちら農業者にとっては「雨だから畑いけないもんね。だから人とずーっと話してても「収穫しろ!」とか怒られないもんね。だから心おきなく語り合っちゃうもんね。テヘペロ」なので、心おきなく色々な話ができました!
写真は久松さんと久松さんの著書『キレイゴトぬきの農業論』(新潮新書)にサインもらってご満悦の俺w↓

お昼12時から午後4時までずーっとしゃべりっぱなし(笑)
毎回思うが、久松さんとは話題が尽きない。
栽培技術、野菜の品種、販売はもちろん、雇用や今後の経営方向、はたまた「お互い農業経営やってると色々あるよね~」などなど、とにかく熱い「おっさん農業人しゃべり場」になりましたw
久松さんと話してると、それまでモヤモヤしてた頭の中が、霧が晴れるようにはっきりとしたビジョン(自分の方向性)が現れてくる。
俺はそれを「久松効果」と心の中で命名してるのだが、これはひとえに久松さんが俺の霧がかかったようなモヤモヤした頭の中に、『言葉のうちわ』でやさしく風を送ってくれて、気付かないうちにその霧を取り払ってくれるからだと思う。
さすが、自他共に認める「日本一話のうまい農家」である。(笑)
ありがとう、久松さん!!!
さて、そんな久松さんと4時間ほど話をして、エンジン温まったところで、今回のメインイベント「海外農業研修事前講習会OB講話」の講師として、会場である日本農業実践学園へ向かいました。
→エピソード2へ続く。
2013年10月20日
本来の目的は、来年度欧州で海外農業研修に行く研修生たちの前でOBとして講話してくるのだが、今回は二日に分けて、私が尊敬する3人の農業人にも会いに行きます。
楽しみでしょうがない!!
詳しい報告は戻ってから。
では、行ってきます。
2013年10月17日
今回の台風26号、大島では大きな被害が出てしまいました。
被害にあわれた方、お見舞い申し上げます。
さて、うちはというと、今回の台風は雨と強風が別々に襲い掛かってきたので、うちの畑の被害は想定よりも少なかったです。
収穫期を迎えたブロッコリーも、雨の後に強風だったので、風で倒されたところに泥はねして病気蔓延という最悪のパターンは回避されたのでひとまず安心。
とはいえ、強風で根こそぎ倒されたけどね。↓
これも日を追うごとに回復してきてます。
ブロッコリー祭りも始まりましたので、なんとか早い段階で起き上がってほしい。
今年は台風が多い。
よく「柿が豊作なら台風が多い」なんて言いますが、これはあながち迷信ではないような気がします。
今年は柿の実がごっそり実ってるしね。
先日発生した台風27号の進路も、予報を見る限りかなり怪しい動きを見せている。
今年は台風の当たり年なのかな~(汗)
2013年10月15日
台風26号が素敵なコースで関東に突っ込んでくるようです。
最大瞬間風速60mだとおおおおお?
ブロッコリーの収穫が始まりまして、そろそろ『ブロッコリー祭宣言』(※収穫量が一日200個オーバーしたときに出す宣言)をしようかと思ってところに、この台風!!(泣)
ブロッコリーが風でぶん回されて倒されたところに、土砂降りの雨くらったら花蕾に泥はねし、病気激増!とかそういうパターンでしょうか。
まあ、そういうリスクを回避するために風が防げるような畑に作付けしたり、ブロッコリーを密植気味にして収穫時期の倒伏防止用の管理はしているが心配です。
昨日の時点で急遽ネギの土寄せを親父にやってもらい、今日は畑の細かい台風対策に時間を費やしそうです。
そんなに被害が出なきゃいいなあ~。
2013年10月09日
本日は農家のこせがれネットワークのW氏からお誘いあり、第四回全麺業青年連合研修会埼玉大会に行きました。
そこで麺業との方々とのディスカッションをし、農家と麺業とのコラボでどういうことができるか、話し合いました。すげえ楽しかったw
で、その議論で浮かび上がってきた事柄のなかに「辛味大根」というキーワードが。
現在辛味大根は安定供給できる産地が不在で、正直、野菜農家にとってはニッチ狙える品目。
ニーズとしては、気温が上がり需要が増える春から夏にかけて安定した価格での供給を望んでいるとのこと。(その時期は辛味大根育てにくい時期ではある。)
辛味大根にもさまざまな品種があるので、蕎麦屋さんの望む辛味大根の品種をリサーチしたら、カブのように丸いタイプの辛味大根が人気があった。
今日参加してた蕎麦屋さんは100人以上。もしも多くの人と契約できたら一人一人のロットが小さくても、数で補えるので、結構いい品目になりそうな予感。
とりあえず、数種類の「辛味大根」を作って蕎麦屋さんの望む味に近い品目を探して、それから蕎麦屋さんに流通できれば面白いなあと。
とりあえず参考までにこんなのがあるよと↓
これが多分蕎麦屋さんが好むカブ型の辛味大根。
これは楕円形の辛味大根。周年栽培できるのもいい。
ちょっと変わり種の中が緑色の辛味大根。おろしにすると色は目立つね。
これは辛味大根ではないが、おろしにするときれいな赤紫色になりそうだ。
つうわけで、辛味大根作ってみたい農家さんています?夏場の安定供給だと東北や北海道の農家さんが作りやすいのかなと。俺は夏場はちょっと栽培が難しいかなと。
もし、このネタに興味のある方は一報ください。もし先方(蕎麦屋さん)がOKなら、農家さんに蕎麦屋さんを紹介したいと思います。
台風が次々と発生して、天気予報とにらめっこしてしまう10月。
ここ数年は10月に台風が来ることが珍しくなくなってきているとはいえ、台風の影響による高温や雨などに気を付けながら種まきや管理には気を使う。
で、これからは「暑い秋」と「寒い秋」両方を想定して、暑さが得意な品種と寒さが得意な品種を同時に播いて、どっちの天候で来ても全滅ということにならないような品種策定と作付け計画が必要なんじゃないかと思うわけである。
今年は小松菜でそれを試してみようかと思う。大体暑さが得意な品種と寒さが得意な品種は同時に播いても数日ではあるが収穫日に差ができる。
つまり品種の成長差を利用して、同時に播種して収穫期間をずらせば、悪天候などで種まきできる日が限られれても、一度の作業で実質的に収穫期間を長くでき、しかも採り遅れんが防げるので収量も増えることが期待できる。
秋冬作なんか特に差が出そうだから、面白うそうだなと思っている。
さて、久しぶりにうちの野菜の様子。↓
大根収穫開始。寒冷紗をかけていたので、害虫による葉の食害が極めて少なくて、葉付き大根で出荷中。
ニンジンはまだもう少しかかりそう。あと3週間ほど経てば収穫できるかな。
そして秋のメイン作物の一つ「ブロッコリー」。
今年は約15,000株。多分11月はブロッコリーの収穫に追われること確実(汗)
たまに暑い日もあるけど、季節はもう秋。
これから農繁期に突入するので体調管理に気を付けねば。
2013年10月06日
栗の栽培を始めて3年目。
今年ようやく少しは販売できるぐらいの収量が取れたんだけど、拾う前の草刈の作業が結構大変なことに気付く。
そこで、「なんか草刈しねーでもいいような方法ないかな~」と探してたら、ナギナタガヤを利用した草管理(草生栽培)に当たった。
なんでも秋に種を播くと、夏ぐらいまで他の草の日照を奪い、他の雑草の成長を抑えながら大きくなり、一定の大きさになると勝手に枯れて9月の栗収穫までほとんど草管理をしなくていいらいい。
というわけで、早速試してみる。↓
草刈した後、ナギナタガヤの種をパラパラ~と種まき。
本当は9月中に種まいたほうがいいらしいのだが、この方法に辿りついたのが、9月下旬でそこから種を注文だったから仕方ない。
間に合ってくれるといいな。
今回の種はタキイ種苗のナギナタガヤ。(日本在来と表示してあるのに、生産地がアメリカっていうところに突っ込みを入れたい気はするが(笑い))
上手に育って、来年俺に楽させてくれw楽しみだ~♪
2013年10月03日
先日、来年4月から消費税増税が決定した。
政府ってか総理は「全額社会保障に当てます」とか言ってるけど、現在の社会保障の予算を増税分(消費税3%分)カットして、そのカットした部分を消費税で補てんして、浮いた予算で経済対策とか、まあ、他のことに使うんだろう。
ちょっと考えればわかることなんだけどね。嘘は言ってないけど、言うべきことを言ってないって話。
これで、説明したとか言われても、ねえ、って感じですが。
ま、ともかく消費税が5%から8%に引き上げられることは確定したわけです。
さて、消費税増税した場合、野菜を売ってる農業者としては、価格をどうしようかって話。
前回の3%から5%に上がった時は、なんだかんだでこっちが増税分のコストを負担することになったからね。コスト削減で表示価格維持という形になり、完全に割喰った感じ。
今回もそうだが、野菜は価格が安定しない商品だから、消費税を含めた値段の設定に頭を悩ます。
特にスーパーの値付けはどうなるのか?ってすごく気になる。
大体どこのスーパーも値札の1の位の数字は「8」や「9」で統一していることが多い。
99円とか、198円とかね。
で、現在販売価格198円のうち、188.1円が商品の値段で消費税は9.9円なのだが、これが8%になると188.1円×8%+188.1円=203.148円。
まあ、実際小数点以下は切り捨てになるから、店頭表示価格203円になるわけだ。
で、お客さんは198円と203円、パッと見て200円以内と200円オーバーじゃ全然イメージが違う。
そのとき、お客様のことを考え198円の据え置き価格にしたら、前回みたいに割を喰うこと確実。
こればっかりは取引のあるスーパーがどういう価格設定でくるのかで大きく違うかな。
理想は、消費税増税分をそのまま価格に反映してくれることだけど。
まあ、大手の〇オンとかは、自分が一番だからメーカーや生産者に割を食わして来るんだろうけど、中堅もそれに倣っちゃうと、結局増税分の負担はこっちにくるのかな・・・(汗)
価格表示の見た目を優先した価格設定と原価を考えたうえで増税分をそのままプラスする価格設定。
このどちらが主流になるかわからないが、できることなら後者であってほしい。