2007年03月29日


最近はハウスを利用している野菜産地(特にトマト)には天敵や有用生物の導入が徐々に進んできている。
とは言うものの、ハウストマトの受粉作業はホルモン処理が主流だ。
露地ならば、野生の昆虫が勝手に受粉してくれるが、ハウスのトマトは密閉された空間では人が受粉作業をしなければ実がならない。
人の手でやるには時間がかかり面倒。そこで主流になっているのがホルモン剤を散布する方法である。このホルモン剤、温度によって散布濃度が違い、散布する回数も多いから面倒くさい。さらに、ちょっと濃度を間違えれば、トマトが奇形になってしまったりする。
そこで作業性や品質向上のために「セイヨウマルハナバチ」というハチを利用した方法が広がっている。これなら、ホルモン処理にかかる時間はなくなり、奇形が減り品質も向上する。
そんな矢先、お上から、「セイヨウオオマルハナバチ」に「使用待った」がかかった。
外来生物であるセイヨウオオマルハナバチが野生化し、日本の生態系に悪影響があるかもしれない。だから、もし使うなら逃走防止を徹底してくれということだ。
確かにその通り。では、セイヨウオオマルハナバチに変わる生物がいるかというと、なかなかいない。こうなると、せっかくマルハナバチを利用して、作業性や品質が向上したのに、仕方なく「ホルモン処理」に変える生産者も出てくる。

この事例で日本に生物農薬が浸透していないのがわかる。
つまり、生物農薬は海外からの輸入に依存しているために、国内の野生生物の生物農薬への利用が進んでいないのである。

これから生物農薬をビジネスにしようと考えている人がいるならば、100%日本の野生生物で生物農薬を商品化してもらいたい。さらに言わせてもらえば、九州なら九州の、北海道なら北海道の野生生物を各地方限定で商品化・販売してもらいたい。
これならば、生態系への影響がほとんど問題にならないはずだ。
そうなればハウスだけの利用ではなく、露地でも利用できる生物農薬となる。
日本にあった生物農薬の開発を切に願う。

少し前までは『IPM』(総合的有害生物管理)が盛んに言われていたが、これはハウスという限られた「箱庭」でしか通用しない。
日本の農地のほとんどは露地であるから、露地で通用する生物農薬を主流にしていかなければならない。出来ることなら各地域、各畑にいる生物を利用・・・というかそこにいる生物に手伝ってもらって、害虫からの被害を防除していくというに様に変えていかなければならないと思う。
つまり、これからは『IBM(Integrated Biodiversity Management)』(総合的生物多様性管理)の時代に移り変わっていくと思うし、そうなっていかなきゃと想う。

<その9に続く>




at 06:02│コメント(0)食の安全を考えよう! │

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