2007年05月08日
5月5日の日本農業新聞の記事に俺のアンテナがピコーンとなったものがあった。
高級貸農園 利用料50万も
記事によれば、高級住宅地の東京・成城で「アグリス成城」という会員制の貸農園がオープンしたらしい。
運営しているのは小田急ランドフローラ。場所は、地下化した小田急電鉄の線路を覆う5,000平方メートルの地上部分を利用していて、300区画がある。ビルの屋上のように荷重制限があるから土の代わりに屋上緑化使う軽量の人口培土を使っている。設備はシャワー付きのクラブハウスや英国製の農具があり、常駐スタッフもいる。
驚くべきはその利用料。
畑1区画(6平方メートル)の利用料は年間10万5千円(年会費3万1500円)。
さらに『栽培代行サービス』や『栽培講座』の特典付きだと、47万2500円(年会費5万2500円)。
線路を地下化した地上部に、この様な貸農園を開くのはすごくいいアイデアだ。東京・成城といえば高級住宅が立ち並ぶ地域。駐車場の料金だって月3万円なんて当たり前の場所だ。年間利用料が10万5千円という料金設定もわかる。わかるけど…
そこまでして家庭菜園がしたいのか?
料金のことは置いといて、まず他の事を突っ込みます。
まず、1区画の広さ。狭すぎます。せめて倍の12平方メートルあれば、栽培できる作物も増えます。
シャワー付きのクラブハウス。この面積じゃ、作業をして汗をかいたり、泥まみれになることはありませんから。汗かくとしたら、暑い夏ぐらいか?シャワー付きの畑なんてうらやましい…。
英国製農具。野菜を育てるのに、道具はデザインよりも機能性です。この狭い面積であれば、スコップ一本あれば、ある程度のことはできます。ジョーロだって100円ショップで売っている、プラスチック製の軽いものの方が楽です。まあ、料金的に、ある程度収入がある方が利用するから、高級志向なのかも知れませんが
人口培土。土の性質が写真からだと判断しづらいが、排水性がよい場合、肥料分とかがどんどん下に流出しそう。そのとき、培土の一番深い所で、排水処理や防水処理がきちんと設置してあるのならいいのだが、もしそれが不十分だった場合、下を走っている小田急線の線路に影響がでるので?もっとも、その辺をクリアしているから事業をやっているのだろうが。
さて一番の突っ込みたいところは次。
『栽培代行サービス』は必要か?
「特典付きの料金が50万円近くて高い」とかではなく、いくら時間がないとはいえ、家庭菜園をやる以上、一番楽しいところを他人に任せちゃまずいでしょ?野菜てのは毎日変化していくものだし、野菜の成長を見たり、害虫防除したり、追肥したり、色んな過程があって収穫するから楽しいんでしょうが!
極端な話、「種まきして、あとは収穫まで管理お願いしまーす。」じゃ、この立地でこの料金で家庭菜園する意味がないよ!
収穫物だけほしいのであれば、スーパー行って買ってください!この料金よりもずっとお買い得だし、種まいて管理してもらって収穫したものと変わりませんから!
たぶん、栽培代行サービスを利用する人は、その辺を理解できない人なんだろうなあ。過程を見て体験するから野菜がおいしく感じるんだけどねぇ。
さてもしも、農家である私がこの1区画で野菜をつくろとしたら?
1区画6平方メートル。つまり2坪弱。4畳半もない土地で作れる野菜はトマト、ピーマン、サラダ用の葉物etcか?
カボチャなんか植えて、放任栽培にしたらどんどんつるが伸びて2ヶ月もたたないうちに1区画からはみ出すから×。
人口培土が何メートルぐらい深いのかにもよるが、1メートルもないようなら、根菜類(大根、ごぼう、里イモetc)はキツイ。人参ならギリギリ大丈夫かな。大根は1区画の広さから考えれば、私ならやらない。排水性のよさそうな人口培土を使っているなら、サツマイモなんかはいいかも?…いやあれもつるがえらい伸びるしなあ…。
季節にもよるが、春から秋にかけてなら、トマト、ピーマン、サラダ菜、ルッコラetcのサラダ系の野菜になるかな。自分で栽培して収穫する最大のメリットは「鮮度」!特にサラダ系の野菜は生でいけるから、採ったその場で食べるのが一番おいしい。トウモロコシだって採れたては生でおいしく食べれるものです。
トマトなら完熟まで待って収穫。これがうまい。私も毎年、自分でやっているからわかる。ミニトマトもいいんだよね。
キュウリは毎日収穫できる人じゃないともったいない。週末しか家庭菜園をしない人がキュウリを栽培すると、ものすごくでかいキュウリしか取れない。きゅうりの品種にもよるけど、おおむね20cmぐらいが食べごろ。
サラダが好きな人はベビーリーフをこまめにまいておくと、毎日ベビーリーフが食べられるかな。あ、でもこの面積じゃ毎日は無理かも。
秋から冬だったらホウレンソウかな。小松菜もいいな。小松菜を収穫せずにそのままにしておくと、春先おいしい菜花が取れます。花が咲く前に、おひたしにすると最高です。
さてこの高級家庭菜園、はたしてどうなるのか?今後が非常に楽しみです。