2007年11月12日


これはここ数日のA?GYOの腸内の物語。


11月7日。宿主(A?GYO)の体内に突如出現した細菌Xにより腸壁が破壊されはじめた。細菌Xの攻撃は日を追うごとに激しくなり、11月9日にそのピークを迎えようとしていた。

ここは腸内司令室。腸内を統べる善玉菌の王LG21(以下L)は重大な決断を迫られていた。


ビフィズス菌(以下ビ)「報告します!現在細菌Xは腸壁の約3割を破壊。乳酸菌連合軍が細菌Xを攻撃しておりますが、戦況は苦しいとのことです。」

L「そうか…そろそろ決断しなければならないな。」
ビ「ええ、出来れば一刻も早く、『宿主を病院に行かせるように』と大脳に伝達すべきかと…」
L「…しかし、問題が2つあってな…」
ビ「は?問題とは?」
L「ああ、それは病院で処置してもらうまでに細菌Xを足止めする役目が必要なのだが、現在の乳酸菌連合軍では確実とは言えない。」
ビ「しかし、それでも行かなければ、この戦いに勝てません。それに数時間の間なら細菌Xに腸壁を破壊されてもいいではないですか?」
L「いや、それが問題なのだ。これ以上腸壁が破壊された場合、それを修復するためにある程度時間がいる。その時に悪玉大王率いる悪玉菌に攻撃されればひとたまりもない。それと、もし病院で点滴や薬を処方された場合、細菌Xだけでなく悪玉菌まで殺され、腸内のバランスが大きく崩れる。その時悪玉菌がどのような手を打ってくるかが分からないのだ。」
ビ「そんな…悪玉菌のことなど構っていちゃダメですよ!」

その時部屋のドアが開いた。

納豆菌(以下ナ)「ほ、報告します。乳酸菌連合軍のうち7割がやられました!細菌Xの勢いは増すばかりです!一刻の猶予もありません。王、決断を!」
L「これ以上は無理か…せめて腸壁のダメージを減らすことはできないだろうか…」
ビ「!そうだ、王。化学兵器正露丸糖衣Aを使えばどうでしょう?」
ナ「ビフィズス菌殿!それはダメです!前回の戦役のとき、無理に下痢を止めにかかって、逆に細菌Xを増やす結果になって宿主の体調が悪化したじゃないですか!細菌・ウイルス系が原因の下痢には正露丸はご法度ですよ!
ビ「くそ、もう腸壁を見捨てるしかないのか…」
ナ「私に力があれば…」

部屋に絶望感が広がった。しかし、次の瞬間部屋のドアが乱暴に開けられた。

???「邪魔するぜ。」

ビ「お、お前は悪玉菌を統べる大魔王大腸菌(以下大)じゃ、ないか!」
ナ「こ、こんなときに何の用だ!」

大「あ?雑魚は黙ってろ。おいLG21よ、困ってるみてえだなあ。」
L「悪玉菌の大魔王が何しに来た。」
大「はっ、腸壁守る手段がいなくて困ってんだろ?俺らが細菌Xとやりあって時間稼いでやるよ。」
L「!なんだと?」
大「言っとくけどな、今回だけだからな。」
L「一体どういう風の吹きまわしだ。」
大「新参者が宿主に入って数日で、これだけ勝手に暴れられるとよ、こっちも頭くるわけだ。悪には悪の秩序、悪道ってもんがある。それを外せば外道だ。この腸内に外道はいらねえ。これは全ての悪玉菌の総意だ。」
L「大魔王…恩に着る。」
大「は、礼は聞きたかねえよ。それとな、病院で処方される悪玉菌を殺す薬も速攻で使えよ。じゃ、ねえといくら俺らでも、細菌Xにやられちまうから。」
ナ「だが、殺菌剤を使ったら、細菌Xと一緒にお前らもやられちまうじゃないか!それでもいいのか?」
大「は、おめえらみたいに体外から供給されなきゃ生き残れないような軟弱な菌と一緒にするんじゃねえよ。こっちは宿主が肉でも食ってくれりゃ体内で増えることができんだ。そんな殺菌剤なんぞ屁でもねえ。あとな、この戦いの後、腸壁が完全に修復するまで、俺らがお前らに攻撃加えることはねえから安心しろ。ま、したくても数がすくねえからできなんだがな。」
L「…大魔王、本当にそれでいいんだな。」
大「ああ、だから早く大脳に病院行くように伝えろや。それと『この戦いが終わったら肉をたくさん食べろ』ともな。」
L「ありがとう。大魔王。」
大「は、そんな言葉はいらねえ。大脳に肉のこと言い忘れんな。じゃあな。」

そう言うと大魔王大腸菌は部屋を出て行った。

ビ「…しかしあの大魔王が、よく協力してくれたな…」
ナ「それなんですが、あのー、これは…そのあくまで戦場で聞いたウワサなのですが…」
L「なんだ?」
ナ「…それが、この戦いの中盤で、細菌Xと悪玉菌連合軍が戦ったとき、大魔王の息子が細菌Xにやられたって話です。ウソか本当かわかりませんが…」
ビ「そうか。だから、協力してくれたのか…いくら大魔王でも大魔王である前に親なんですかねえ…」
L「とにかくこれで、病院に行く環境が整った。早速大脳に連絡だ!」



こうして、宿主(A?GYO)は病院に行って待合室で待っているときに、一度もトイレに行かなくてすんだとさ。おしまい。


腸内には百を超す種類の細菌がいるという。腸内の細菌の数のバランスは重要。どの菌が強くなっても害がでるらしい。

何事もバランスが大事。腸内も、人の世も。



at 06:10│コメント(0)なんでも妄想録 │

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