2009年03月31日


『親父』とは超えるべき存在であるもの。

いきなり何言ってんだかと思われるかもしれないが、常日頃から俺はそう思っている。

昨日、親父とケンカした。


いや、ケンカじゃねえか。
うーん、なんだろ、親父からの一方的な叱咤というか、激励というか、まあ要するに俺の仕事のやり方が気に入らないから小言を言っきたわけである。

今、上原農園は畑の準備(堆肥播いたり、トラクターで耕したり)や、様々な野菜の種まき、それとお茶の管理、それと人参と里芋の収穫で、相当忙しいのだが、俺が毎朝スーパー配達して、午前中の仕事がなかなかはかどらないのが気に入らないらしい。

んで、先述したお茶の管理は二人用の茶刈り機でやらなきゃいけないから、お茶の管理(刈り込み)をするときはどうしても二人必要。
だから、親父的にはスーパー休んでお茶刈り、その他色々な作業を俺とやりたいのだが、俺の動きが親父の思う通りに行かないので、機嫌が悪くなったというわけである。

親父は言う。

「もっと『家の仕事』をしっかりやれよ!」

親父の言う『家の仕事』とは、いままで親父が考え、実行してきた『上原農園の仕事』のこと。
親父にとっては俺が就農する前に自分で築き上げた作業・販売形態が『上原農園の仕事』であるから、俺が新しく始めた『スーパーの直売』は親父にとって『上原農園の仕事』以外ということだ。

もちろん、今までの親父がやっていた作付け計画があってこそのスーパーの直売であるから、それに文句は言えないし、昨日も俺は反論しなかった。

でも、正直、自分で広げたスーパーという販路を否定されたの悔しい。

でも、それを言葉にして親父に反論したら、火に油を注ぐし、何より反論している自分が恥ずかしくなってくる。

俺が今できること。

それは、親父に小言を言わさないように動くことである。


なぜなら俺の親父はそれをやってきたのだから。


うちの親父は『婿養子』である。
俺の母と結婚して上原家の16代目になった人である。


親父が就農した当時、上原農園は『養蚕業』をメインとして、それ以外の時間はお茶をやったり、子豚の生産やったり、野菜を細々とやっている複合経営の農家だった。

親父は実家が野菜農家で、親父的には野菜をメインにやりたかった。

だが、上原農園14代目(俺のひいじいさん)は、地域でも「先生」と呼ばれるほどのプロの『養蚕家』だった。

親父は蚕のまゆにアレルギーがあって、身体的にきついから野菜メインにしたいのだが、14代目は自分が築きあげきた『養蚕業』をやめようとしない。

そういう状況なので、経営のやり方で時々14代目に16代目(親父)は色々言われていたらしい。親父は悔しかっただろう。でも、親父はコツコツ当時の『家の仕事』(養蚕業)をしつつ、合間で自分で作った野菜をコツコツ市場出荷するようになった。

経営移譲は時代が解決した。

養蚕業は縮小の一途をたどり下火になり、地域ではお茶がメインの作物になってきた。
幸い15代目(俺の祖父)はものすごーく考え方が柔らかい人で、14代目に「じいさん、いつも『時代に合った経営をしろ』って言ってたべ。もう若いもんに任せろや」と納得させ、晴れて養蚕業をやめ、親父は野菜メインの経営に舵を切ることができた。

後で15代目から聞いた話なのだが、親父が文句を言われながらも、我慢してそれまでの養蚕業を黙ってしっかりやりつつ、野菜も本気でやっていたから、14代目を説得したということだった。(親父は多分この話を知らない。)


俺も人として、家を継ぐものとして、こうあるべきだと思っている。


俺はスーパー以外にも農業で色々やりたいと思っているので、今は親父に小言を言われないように動きつつ、自分のやりたいことを実現していきたいと思う。んで、親父のようになりたい…ってか親父を超えたい。


…つーわけで、今日は茶刈りだ!頑張るべ!!行ってきます!!



at 05:56│コメント(8)格言・名言・迷言(まよいごと) │

この記事へのコメント

1. Posted by おおたこ   2009年03月31日 09:07
いやー何か共感するものがあります。
やるからには自分の思ったようにやりたいが、でも先代が現役でいる間は従来のやり方を大きく変える事は出来ない...
このジレンマが何とも
とりあえず先代に認めてもらえるまで、こっそりと頑張って行きましょう。
2. Posted by Kaito   2009年03月31日 21:40
ここのところブログが冴えに冴えてるね。凄く面白いよ。
熱い漢、応援します!
3. Posted by アスパラ屋   2009年03月31日 23:38
熱い内容なので、ついつい書いてしまいます。何代もの歴史がない人にどうこう言われたくは無いと思いますが…。
思うに、先代がいるこからこそ、自分は実家の農業を継がせてもらっている。自分がやりたいことというのは、先代が作ったものがあるからできることなわけで、商品あっての販売、は間違いないことでしょう。父との方向性に多少の違いはあるにしても、行動で納得させるしかないのは同感です。ちなみに私は、新しいことを始める時に『今、自分ひとりになったときにできるか?お客様と我が家のためになるか?』というのを行動指針にしています。家業を持続すること、については親子ともども同意見なはずなので、将来を見据えた討論は活発にしたいですよね?。
4. Posted by かぜだより   2009年04月01日 04:21
ジーンと来てしまいました。僕は実質的に「1代目」なのでこういう葛藤から逃げている所があります。僕が言われたら反論しちゃいそうです。
大事なことですね。
5. Posted by 吉吉   2009年04月01日 09:12
だいぶ前から思っていたけど、親父に勝つってどういう事だろう?
今より規模を大きくしたり、売上を伸ばす事?
それとも名声を上げる事?
それとも良い作物を作る事?
それとも…?
http://ameblo.jp/yfarm/
6. Posted by mizuki   2009年04月01日 15:44
先日はお疲れ様でした。・・・てもう1ヶ月近くなりますか・・・(´д`;
どこも同じようなもんですね(笑
新しいやり方で改革しようとする若者と
旧来の手法の踏襲に安定を求める上の世代。
僕の場合はガチで徹底抗戦して親父だろうは母親だろうが嫁だろうが黙らせます。
後で改革の結果見せれば、どうせ
納得して喜ぶことになる(笑
自分の持ち分、やるべきと思う仕事の領域は喧嘩してでも獲得しないと。と僕は思っています。
その分、責任が重くなりますが(苦笑
7. Posted by A-GYO   2009年04月01日 21:25
皆様、たくさんのコメントありがとうございます!(文字数オーバーするんで何回かにわけて返信します。)
>おおたこ様
コメントありがとうございます!!
先代との意見のぶつかり合いはどの世代にもあると思います。
ただ、今の自分よりも上の世代も、その上の世代と同じようにぶつかって自分の道を切り開いて今があるんだと思います。
だから自分の道を否定されるようなことに対して反発するのだと思います。
私としては、自分の親父の知識や経験を吸収するために、親父に小言を言われないように、自分を認めてもらうために、今できることをしっかりやっていきたいと思っています!
>Kaito様
ども、久しぶり!!そっちはどうだい?
いつもブログ見てくれてありがとう!
男塾に入塾できるぐらいの『熱い漢』になるために、自分の今できることをコツコツ頑張って行こうと思います!
>アスパラ屋様
コメントありがとうございます!
>新しいことを始める時に『今、自分ひとりになったときにできるか?お客様と我が家のためになるか?』というのを行動指針にしています。
これ、同感です。自分だけでなく、お客様や家族にとってもプラスになるような事業でないと長続きしないと思います。
あと、いずれは自分が中心になって切り盛りしていくことなので、自分のキャパシティを超えないことが、続けていける一つの条件なのかな?って思います。まあ、新しいことに挑戦するモチベーショが自分のキャパシティを成長させるので、勢い任せで何でもやってみるのもアリかもしれませんが(笑)ちなみに私も自分のやりたいことは親父とよく討論してますよ!
8. Posted by A-GYO   2009年04月01日 21:26
>かぜだより様
コメントありがとうございます!!
僕は1代目だろうが、10代目だろうが、100代目だろうが、上の世代との意見のぶつかり合いってのはすごく大切なことだと思っています。できたら、かぜだよりさんも避けずに、上の世代とぶつかりあってみてください。もしかしたら今まで見えなかったものが見えるようになるかもしれませんよ(笑)。
>吉吉様
いつもコメントありがとうございます!
>だいぶ前から思っていたけど、親父に勝つってどういう事だろう?
私としては親父に勝つってことは『親父に認められること』だと思っています。
規模や技術や名声で親父よりも優れていてもそれは表面的に勝っているだけで、本当の意味での勝つってことではないのかなと思います。
親父が自分を人間的に認めてくれた時が、自分が親父に勝つ時だと思います。…私の場合、まだ当分先ですけどね(苦笑)
>mizuki様
お久しぶりです!コメントありがとうございます!
私も「やるべきと思う仕事の領域は喧嘩してでも獲得する」ことが親父に勝つ(親父に認めてもらう)ためには必要なことだと思います。
そして、それを実行するエネルギーがあってはじめて、自分の道を切り開くことができるんだと思います。
責任や覚悟ってのが、親父を超える一番重要な要素になると思います。

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