2007年03月

2007年03月09日

農産物の残留農薬問題が大きく取りざたされると、人々は自分の食べているものに「安心・安全」を求める意識が強くなった。
これは、自分の体の健康についても気をつけるようになったともいえる。
農産物に求めるのもの自然と「健康にいいもの」を選ぶようになってくる。
そこでこの時期に急速に広がったのが「有機農産物」である。
人々にとって「有機農産物」とは「体に安心・安全で健康的」という漠然としたイメージがあったからだ。
各地に有機農産物専門店が登場し、スーパーなどでも有機農産物を取り扱うようなったので、人々にも「有機農産物」は身近な存在となっていった。
ただ、有機農産物の販売価格は一般の野菜の価格よりも割高になった。これは市場に出回る「有機農産物」の流通量が少なかったことと、「有機農産物」の流通ルートが多岐にわたり、流通費用がかかったことが挙げられる。
また、「化学農薬を使わないから人件費がかかっている」と農家側から提示される相場も割高だった。
結果、「有機農産物」=「高価」になり、「安心・安全」=「金を出して買うもの」というイメージになっていった。

ただ当時、何をもって「有機農産物」なのかがはっきりしていなかった。
「有機農産物の定義」は生産者自身が決めていた感があった。
例えば、化学農薬や化学肥料を使っているのにもかかわらず、有機質肥料を使っているから「有機農産物」といったものも存在した。
さらに、人々が困ったのは「減農薬」や「減化学肥料」といった表示。
一体何を基準として「減」なのかがわからない。
「有機野菜」、「減農薬野菜」、「無化学肥料・減農薬野菜」、「無農薬、減化学肥料野菜」、「無農薬・無化学肥料野菜」、「オーガニック」etcetc・・・
当時はこのような表示が氾濫していた。あなたはこの違いを具体的にわかりますか?
このような表示で販売されていた農産物はかなり多かったし、なかには慣行栽培にもかかわらず、より高く売るために、この様な表示をつける輩まで出てきた。
農産物の表示に対しての罰則や規制がなかったからだ。

消費者にとって、「有機農産物」は普通の野菜と比べ、決して安いものではなかった。だからより詳しく、有機農産物についてはっきりした定義が必要になってきた。
そこで国は有機農産物の表示に対して規制をかけることにした。


<その5に続く>





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2007年03月07日

「所沢ダイオキシン風評被害」後、農産物に「安心・安全」を求める人が徐々に増えてきた。しかし、それはごく一部のの人々に限られていた。

この頃世の中は「デフレ」といわれ、「安い」ということが消費者に最も喜ばれることだった。スーパーを初めとする小売業界は、競って低価格を売りに消費者を呼び込もうとしていた。(当時マク○ナル○は、一個60円のハンバーガーを売り出し、業界の勝ち組になっていった。)
これは農産物にも求められたことで、スーパーなどはより原価の安い農産物を求めていった。その頃から中国などからの輸入野菜が多く店頭に並べられるようになった。輸入野菜のほうが国産野菜よりも安かったからだ。
当時の消費者にとって「安心・安全」は当たり前であって、「安い」が一番、「安心・安全」は二の次だったのである。

しかし、この風潮を一気に変化させた大事件が起こる。
中国産の冷凍ほうれん草から基準値を大幅に超える残留農薬が検出されたのだ。

このことが報道されると、中国産の輸入野菜は全く売れなくなった。
中国産というだけで「不安・危険」とイメージがついてまわったからだ。

この事件は、消費者の意識を大きく変化させた。
それまでの消費者意識は「安い」が一番だったが、この事件で「安心・安全」
こそが農産物に求めるものと気づいたのだ。

この事件を機に人々は、輸入野菜よりも国産を選ぶようになっていった。
それは今でも変わっていない。例えば取引先のスーパー店長がこう言っている。
「例えばブロッコリーなんかは、中国産は99円で国産が198円で並べたら、ほとんどのお客さんは国産198円を選ぶ。中国産は原価が安いけど、売れないんじゃ陳列スペースがもったいないからね。国産が多く出回る時は、輸入物は陳列しない。」

余談だが、この事件が発覚する前、中国に視察研修にいった知人の農家が帰ってきてからこう言っていた。
「中国の農家はすげえよ。農薬撒くのに半そで・短パン。しかも裸足でやってんだぜ。あれじゃあ体悪くしちまうよ。しかも、農薬の回数が半端じゃねえよ。『何でこんなに農薬かけんの?』ってきいたら、『これは日本用。日本人は見た目がきれいな野菜が好きなんだろ?』だってさ。こんなこと聞いちまったら中国産の野菜は食いたくなくなるよ。」

・・・中国産の残留農薬問題が報道されたのはそれからすぐのことだった。
この話を聞く限り、この問題が中国側だけの問題でない気がする。
考えてみると、バブル崩壊以前の日本人の「きれいなもの好き」のイメージが未だに中国に根強く残っているのではないだろうか。それが今の残留農薬問題に大きくかかわっているのでなないだろうか。そんなことを考えてしまう。

さて、また話がそれてしまった。話を戻そう。
この「残留農薬問題」をきっかけに、農産物に「安心・安全」を求める声が高まった。
さらに「安心・安全」=「健康」という考え方が生まれ、人々に浸透してきた。
この頃から「有機農産物」が流行るようになってきた。

<その4に続く>






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2007年03月05日

農産物への安全意識が徐々に広がってきた頃、俺にとっても忘れられない事件が起こる。
「所沢ダイオキシン風評被害」事件である。

ある人気テレビニュース番組が「有毒物質ダイオキシンが焼却場から出て野菜を汚染している」と報じた。
テレビサイド側としては、焼却場から無制限に排出される有毒ダイオキシンの危険性を訴える内容の報道としたつもりだったのだろう。しかし、視聴者にはそのように受け取られなかった。
報道の内容を要約すると、「有毒物質ダイオキシンというものがあります。ダイオキシンは体に毒です。ダイオキシンは焼却場から出ます。そのダイオキシンは空から降ってきます。ダイオキシンは人体や野菜に降り注ぎます。さあ、皆さんはこれをどう思いますか?」という内容だった。

この報道の仕方には大きな問題があった。まず、「ダイオキシンが野菜に降り注いでいる」という説明の時に、本当はお茶にかかっていたダイオキシンの濃度を、野菜にかかっていたダイオキシンの濃度として捏造して、発表したこと。
さらに本来焼却場に向けての警告のはずが、これを読んだ某ニュースキャスターが、「野菜は安全なのか?」の様な表現で報道を締めたこと。

翌日、所沢産の野菜の価格は全て大暴落。所沢産だけではなく、埼玉県全体の農産物価格も大暴落を起こした。
当時、俺はまだ学生だったが、所沢と隣接していた市であったから、他人事ではなかった。
実際、それまで出荷していた野菜の梱包用ダンボールには「埼玉産」と銘打っていたが、「埼玉産」と入っているだけで市場で取引してもらえなくなった。
泣く泣く新しいダンボールを作り、それを使って出荷した。ダンボールには「新鮮野菜」とだけ銘打った。

この風評被害は大問題となった。当初テレビ側は「適正な報道をした。」と強気だった。が、ダイオキシンのデータの捏造が発覚し、他のマスコミからのバッシング。さらに所沢農家からの猛烈な講義によって、キャスターの降板まで
に発展。そして、農家が団結し、テレビ局が訴えられるまでになった(つい最近和解したが)。

この事件、たまたま所沢だったが、もしも他の地域で同じようなダイオキシン調査が行われ報道されていても、同じような事態になっていただろう。

この事件後、良くなったことといえば、ごみ焼却場が減ったこととごみ焼却場にダイオキシン除去装置が取り付けが義務化になったことだろう。
ただ残念なことに、本来ならマスコミも報道が捏造なしで行われるようになるところなのだが、なかなかそうならないのは「○る○る辞典」が証明してしまった。マスコミは頑張ってほしい。

さて話がそれたが、この事件をきっかけに、農産物への安全意識が人々の間に急速に広まっていった。

<その3に続く>


at 03:05│コメント(0)食の安全を考えよう! │
化学農薬は果たして必要なものだろうか?

俺の答えはNO。なぜなら本来は使わなくてもいいものだから。

数百年前まで、日本には化学農薬なんてものはなく、今でいう「有機農法」で全ての野菜は作られていた。
昔の野菜は虫食い、変形当たり前の野菜であっただろうし、それを買う人々も「野菜はそういうもの」だと割り切って食べていたに違いない。

しかし、戦争を経て、戦後の高度成長期の時、化学農薬はその地位を急激に上昇させていった。
なぜか?
それは、食糧増産と消費者の野菜への価値観の変化によるものだ。

戦後、国は食料の増産に力を入れた。それもアメリカ式の「大面積で単一作物」を推し進めた。高度成長時代、輸送技術の発達によって、その食料増産方法は非常に効率的だった。
しかし問題も出てきた。それまでは大きな問題にならなかった、病害虫の大発生だ。
基本的に病害虫が大発生する要因の一つに、単一作物の連作による連作障害と、大規模な面積での連作によって、その作物につく害虫が繁殖しやすい状態になったことが挙げられる。
その対処方として化学農薬の需要が高まったのである。

化学農薬は非常に効果があった。化学農薬をかけたとたん、憎らしい害虫がばたばた死んでいくのである。それまで手作業で害虫駆除をしていたことが馬鹿らしくなるくらいに簡単で作業時間もかからない。しかも、野菜に虫食い痕がなくなり、非常に見栄えがいいものが出来た。
化学農薬の普及により、虫食い痕のない、見栄えのいい野菜が出回るようになってくると、消費者の価値観が変わってきた。それまで、「虫食いが当たり前」だった野菜が「見た目がきれいな野菜」に変わることによって、「きれいな野菜」=「いいもの」、「虫食いの野菜」=「汚いもの」という価値観が生まれてきた。高度成長時代、人は「安心・安全」よりも「見た目」を重視した価値観に変化したのだ。

そしてバブルがはじけ不況になると、「安さ」という価値観が加わり、「見た目がよく、安い野菜」がいいものとなってきたのである。
この「安い」という消費者の希望を叶えるために登場したのが、中国を初めとする海外からの「輸入野菜」である。
海外でももちろん、広大な農地で単一作物を作っているわけだから、日本と同じように病害虫が発生する。だから当然農薬をバンバン使っていた。そして見た目がきれいな野菜を作って日本にどんどん輸出した。

そんな折、ある問題が取りざたされた。輸入果実の「ポストハーベスト」の問題だ。
「ポストハーベスト」。簡単に言えば収穫後に日持ちがするように防腐剤をかけることである。
特に問題になったものはレモン。防腐剤をかけることによって、腐らず、日持ちが何倍にも延びた。
レモンに「ポストハーベスト」が普及した理由として輸送方法が船であったことが挙げられる。
「安い」ことが求められている農産物は輸送費も当然安くなければならない。
つまり同じ距離を運ぶにしても、輸送費が安いことが求められた。そうなると、飛行機と船、どちらが安いかというと、日数がかかる船である。
日数がかかるということは、それだけ農産物を日持ちさせなければならないから、「ポストハーベスト」である防腐剤を使わなければならないのだ。

いつまでも腐らないレモンをマスコミが取り上げ、人々の間に不安が広がった。「ポストハーベストって安全なの?」
これが農産物への安全意識がよみがえってきた、きっかけだったと思う。

<その2に続く>




at 00:33│コメント(0)食の安全を考えよう! │

2007年03月03日

もう三月です。暦の上では春ランランです。今季の「冬」には雪が降らなかった。雪を見る前に春一番が吹いちゃったし・・・
もっとも、この辺じゃ春先(2月?3月)に「ドカ雪」っていう重た?い雪が20cmぐらい降ってくるもんだから、油断は出来ない。

でも今回はあったかい冬だったなあ。本当ならこの時期は厚手のジャンパーを着なきゃ、寒くて仕事になんなかったのに、今季はつなぎに薄手のヤッケがあれば十分だった。
うちの畑も朝方冷え込んでもせいぜい?5℃ぐらいしか下がらなかったし、普段の冬なら見ない、かげろうみたいな虫がわんさか飛んでるし。

今年も虫が多いのかなぁとちょっと心配。アブラナ科野菜によくつくコナガとか。
カメムシの大発生は去年だけにしてほしい・・・。


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